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Book:シュタイナー入門

  • 執筆者の写真: mayumi
    mayumi
  • 2019年9月29日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年5月30日


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著者:小杉 英了 1956年北海道生まれの関西育ち。関西学院大学仏文科卒。ロック・ミュージックとグノーシス派の洗礼から霊学を志し、ルドルフ・シュナイターの認識論を通って三島由紀夫の文化論に到る。著書『三島由紀夫論 命の形』(三一書房)、訳書にゲオルグ・フォイアスティンの『聖なる狂気 グルの現象学』(春秋社)、レイチェル・ストーム著『ニューエイジの歴史と現在』(角川選書 共訳)などがある。


「みずから考え、みずから生きること」への意志を貫いた「理念の闘士」の思想的核心を浮き彫りにする。













シュタイナーが20回近く読んだ、カントの「純粋理性批判」

普段私たちがものを考えている時、大抵思考以外の要素、例えば、

その時の体調、気分、状況等々によって、大なり小なり影響を受けている。


最初集中して考えているつもりでも、ふと気づくと、あらぬ事を考えてたり、

思考が妄想へと変じ、最初に考えていた事が、そもそも何だったのか分からなくなったりと、

相当に悲惨である。


たちまち人は思考の根差し草状態に陥る

挙げ句の果て、一人で勝手に落ち込んだり、反対に舞い上がったり、

糸の切れ凧みたいに、心の空間を果てしなく彷徨う

仕舞にはうとうと眠り込んだりして、気づくと翌朝に不時着していたりする。


シュタイナーがカントから学んだのは、

思考以外の要素から全く自立した思考の営みであった。

魂の明るい場所にしっかりと保持され、

思考以外の要素によって惑わされることなく、

自分が考えようと決めた事柄を絶えず把握し、

一歩一歩明らかに照らしながら、

発展的に高まっていく思考を学んだ。


自分が一体何者であり、どこから来て、どこへ行くのか、

何から解き放たれるべきなのか知ることをグノーシスという。

根源的にして直感的な智慧によって、

みずからの本質に神が宿っていると認識することに他ならない。

透徹した自己認識を通して、本来的自己の神性を直感することがグノーシスである。


高次の認識能力を獲得しようとするとき、

真剣な思考作業を自分に課することがいかに大切なことか、

どれ程強調してもし過ぎることはない。

今日「見者」になりたいと願う多くの人が、

まさにこの真剣で禁欲的な思考作業をいい加減にしているので、

この点を強調することがますます必要になっている。

「神智学」は、最もふさわしい思考力のトレーナーである。

 
 
 

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