Book:禅脳思考
- mayumi

- 2019年10月25日
- 読了時間: 6分
更新日:2021年5月30日

著者:辻 秀一 スポーツドクター。
株式会社エミネクロス代表。 1961年生まれ。慶應義塾大学病院内科、
同スポーツ医学研究センターを経て独立、
現在に至る。 応用スポーツ心理学とフロー理論を基にした
メンタル・トレーニングによるパフォーマンス向上が専門。 セミナー・講演活動は年間200回以上。
外界に向いて行動を作り出すための脳と、
自分という内側を向いて心を整えるためのライフスキル脳、
この2つの脳をしっかり働かせて生きていくことが、
自分らしいQOL(Quality Of Life)の高い生き方と言えます。
禅脳思考ができるかどうかは、先天的な個体差ではなく、
「その思考の価値に気づいて、どのくらいその習慣を気づいてきたか」
という経験により差が生まれます。
パフォーマンスを最大限に発揮しながら生き抜いた宮本武蔵は、『五輪書』の中で、
「天下無双の人物になるには、戦略を考える力と心を整える力、この2つが結局は重要」
と強調しています。
真の天下無双には心を水のごとく、あるいは波立つことのない水面のごとくする事が、
最高のパフォーマンスを生み出していくのだと気づいていくのです。
ありたい姿を望むことをエネルギーの源泉にすれば、永続的なエネルギーが手に入ります。
自分のありたい姿を望むということは、外界や行動に関係のない普遍的なのぞみだからです。
トップアスリートは、ポジティブ思考で無理に心の状態を作ろうとはしないです。
いついかなる時も、自分のパフォーマンスをアウトプットするというあり方を目指しています。
ゆえに、外界に自分の心が持っていかれてしまっては、最高のパフォーマンスを発揮する事が
できないとよく知っています。
いつでもどこでも自分の心をフロー状態に切り替え、保つことを自ら行おうとすれば、
認知脳ではなく、それ以外の方法で心の状態を保ち、パフォーマンスを安定させたいという
ニーズから、禅脳思考に行き着くのです。
全てのパフォーマンスは質があり、全てのパフォーマンスの向こうには心の状態が存在
しています。だから何かのパフォーマンスをすれば、そこに見えない心の状態が現れるのです。
常に自分自身にベクトルを向け、自分自身の生き方や人間性を向上させていく事が、
パフォーマンスの質を変化させ、それが結果的に高い結果をもたらします。
「成功とは、お金や業績などではない。
自分のベストを尽くしたときに感じられる満足感の事だ。」
(ジョン・ウッデン)
今に生きるために、過去や未来の不安を心から切り離しながら、
自由に生きる事が重要です。
多くの人は認知脳で生きているので、外界の出来事や過去、未来に振り回されてばかりで、
「今、ここ、自分」に生きていません。
何かをしていても、心ここにあらずの状態でいるため、
生きているふりをしてしまっているとも言えます。
自分の心を自由に開放し、「今、ここ、自分」に生きるためには、
禅脳思考をするしかありません。
思考は光であり、エネルギーなので、波動を生じます。
波動は脳波を生み出し、心の状態、すなわち感じ方に変化を与える力があります。
波動なので、周りの人にも伝わるという特徴があります。
周りの人を元気にする人は、そのような波動を出す思考習慣があるという事です。
「自分の心の状態は、自分で整える」という意識のある人は、
自分の表情や呼吸、姿勢を大事にしています。
自分の表情次第、呼吸次第、姿勢次第で、心の状態に変化をもたらす事ができるからです。
「楽しい」という感情は、フローな感情です。
なぜなら、パフォーマンスが向上するからです。
つまり、楽しいという感情でいることは、
パフォーマンスのレベルを高く保ちたい人にとって必須なのです。
「一生懸命を楽しもう」と考えれば、誰もが心にフローな風を吹かせられるはずです。
◼️ネイティブアメリカンと禅脳思考
スー族の首長であるルーサー・スタンディング・ベア氏の言葉は、
様々な禅脳思考に繋がるヒントを私たちに教えてくれます。
「幼少の頃、私は与えることを学んだ。
しかし、文明化されるに従い、この恵みを忘れてしまった。」
人間は、人に与える事が自分自身の恵みであることを経験的に知っています。
文明が進むに従い、外から手に入れて、獲得するものが幸せだと暴走してしまったのです。
「昔は小石の一つが私には大切であった。
成長する木々の一本一本が、崇敬の対象であった。
金銭的価値とは違うところに価値があったのだ。」
すべてを敬う心は、自分自身の心を豊かにするのです。
「ネイティブアメリカンは沈黙を深く信じていた。沈黙は完全な平衡の証であるから。
沈黙とは、体と精神と魂が完璧な釣り合いを取っている事である。」
◼️古代ローマ時代の哲人が説く禅脳思考
ルキウス・セネカの言葉をご紹介します。
「精神的活動なくば一種の死であり、人間の生きながらの埋葬である。」
心を大事にする文化活動をなくすことは、人間として生きながらにして死んでいると、
セネカは述べています。
「我々は己のものを他と比較することなしに愉しみたし。
他人がより幸福であることに苦しめらるるならば、人は決して幸福ではありえぬ。」
認知脳は、比較の中で心の平安を生み出そうとします。
誰かと比べることで心の状態を作っているのです。
しかし、比較思考が続く限り、幸せはありえません。
◼️ハワイ・フナの教え
「フナの7つの教え」…フナとは生活に根ざした実践的知恵
①Ike (イケ)
自分が幸せだと考えれば、そこに幸せは生まれる。
すべては自分が決めていることである。
②Kala (カラ)
制限は自分自身で作り出している。
そもそも制限などない。
③Makia (マキア)
思考のエネルギーが大きければ、様々なものを引き寄せる事ができる。
④Manawa (マナワ)
今に生きる。
変えられない過去や、予想できない未来から離れる。
⑤Aloha (アロハ)
アロハとは「思いやり」「親切」「調和」という与える愛の生き方の意味がある。
⑥Mana (マナ)
自分の内なる声を信じる。
理屈や理由にとらわれない。
⑦Pono (ポノ)
自分にベクトルを向ける。
すべては自分に相応しいようになる。
フナの教えの根底に、人は3つのセルフ(自我)を有すると考えます。
一つ目は、「ミドルセルフ」認知脳に相当する部分
二つ目は、「ベーシックセルフ」認知脳に関連する感情や記憶、意味など
三つ目は、「内なる力の存在」フローな心の状態です。
これら三つのセルフの調和こそが、人生の安らぎと健康をもたらすのです。
◼️シャンバラの勇者は知っている
「自信は、人の態度に変化をもたらし、一見不可能なことを可能にする。
もちろん、自信を持ったからと言って、万事が直ちに可能になるというわけではない。
しかし、自信を持って物事に当たれば、うまく行かなくても、
生きていくことの意義がよりよく理解できるようになる。
我々には、あえて難しいことに立ち向かうだけの精神力がある・・・。
勇気を持つことを、シャンバラの勇者はこのように表現するのだ」
(チョギャム・トゥルンパ著『シャンバラ 勇者の道』)



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